人の身体は自然界と似ている
「筋膜」という言葉は誰でも聞いたことがあるのではないでしょうか?
最近は「筋膜リリース」「筋膜ほぐし」という施術や「筋膜ローラー」という健康器具が有名になったことで、医療関係者以外に対しても知名度があがっているのだと思います。
筋膜というものは全身タイツのように頭から足先までを均一に包むようにして繋げている構造となっています。
まさに「全身は繋がっている」というものを現わすにはもってこいの「筋膜」です。
さてこの流行りの筋膜リリースではありますが、表面的に硬くなった筋膜を押したり、引っ張ったりして柔らかくほぐすことで不調が改善すると言われています。
柔軟性を保つことは大変重要なのですが人の身体はそんなに単純ではありません。
その理由を自然界に例えてお話します。
山の上流から流れてくる川の水を町に住んでいる私たちは家庭で飲みます。
①
ある日、事故で汚染物質が川に流れ込んでしまい私達の飲み水が濁って汚くなってしまいました。
②
ともかく私達の身体に毒物が入らないように浄水装置を慌てて設置しました。
するとあっという間に濁っていた水は綺麗になり、水質検査でも異常が検知されることは無くなりました。
③
みんなは大喜びして、普段通りの生活を送っていました。しかし、数年経ったある日の事、謎の体調不調を訴える人が沢山でてきました。
④その人の身体を検査すると山から流れている汚染物質が蓄積していることが分かりました。
⑤
浄水装置が壊れていたのか?装置に異常は無いので、更に強力な薬品を使用して浄水処理を行うようになりました。
⑥
「消毒薬のにおいがする水」を飲みながらの生活が始まります。
されども体調不良を訴える人の身体から流出した汚染物質が検出されます。
それどころか、以前よりも病気にかかる人はもっと増え始めました。
おしまい
・・・完全にバッドエンドですね。
かなり極端な表現にしましたし、現実にこんなことは余程のことがないと起きないでしょう。
どうしてこんな悲劇的な終わり方になったのか?
汚染物質が「飲み水」を介して私達の身体に入ってくることは防げたとしても、
そこに住んでいる生き物や土壌に浸透してしまった場合はまわりまわって人の身体に入ってしまうということです。
熊本県で起きた「水俣病」という事件と似てますね。
山→川→浄水施設→人
といった直線的な流れではなく
汚染された川の中に住む魚を食べたり、その水を使った野菜を口にしたりともっと階層的な流れです。
食物連鎖というピラミッドをイメージしてもよさそうです。
人の身体も一緒なのです。
表面にあるので目に見えて、感じ取りやすい筋膜や筋肉が緊張するということは人間の防衛反応が働いているということです。
その深部にある内臓、筋肉、靭帯、血管に不調があればそれらを守るために表面を硬めているのです。
その状況で硬い筋肉を単純に緩めるだけでいいのでしょうか?
組織が硬くなっているのには理由があるので、それを理解した上で身体に刺激を与えなければいけません。
身体の不調をみるには表面だけではなく、階層的に考えていかなければいけない理由はこれなのです。
だからセラピストは学び続けていき、患者さんのことを知らなければいけない。
一方的に医学的知識や手技療法を押し付けるのではなく。
患者さんの身体に対する考え方や反応を見ながら提供しなければいけません。
エゴを捨てて、ニュートラルな平常心で向き合うことを忘れたくありませんね。
もっと文才が欲しいな思う投稿となりました!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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